ベーオウルフ
ローズマリ サトクリフ-Rosemary Sutcliff(1920-1992)(井辻朱美訳)
原書房?1800ー(11.25?/P)
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戦士ベーオウルフは、王の妹の子。
その父は若い頃に諍いがもとで妻と共に放浪していた、その彼をかばって受け入れてくれた、とある王の館にモンスターが夜な夜な現れて人を殺して回るという話を聞き、ベーオウルフは、今こそ父の恩を返す時と、勇んで出かけていく……。

帯にいわく、<「指輪物語」の英雄達は、アラゴルンにせよ、セオデンにせよ、みなベーオウルフの面影を受け継いでいる。>なるほどそりゃそうだ、トルーキン自体がこの話の原典の研究者で、大ファンだってんだから仕方ないよね。
まぁ、そんなことはさておきとにかくかっこいい、ヨーロッパゲルマン系の騎士道精神ってのはこの辺に源流が有るんだろうか?
サトクリフは、その辺をくくるのに「義」みたいなものを持ってきた、日本人はその辺に弱いよなぁ。
そうしてみると『ナイトクロウラー」グレンディルの話は、「指」のストライダー(馳夫)アラゴルンと堀江安兵衛を足して2で割ったものだし、ファイヤードラゴンの話はセオデンと織田信長が見えてくる……のは私だけ?
さて、舞台はフィンランド?デンマーク、そう北欧神話サーガです、オリジナルは10?12世紀の古代英語で書かれた写本だそうだ、専門分野のトルーキンが反応しないわけがない^^;。
北欧の話がなぜ英語でと思うかもしれないけど、アイスランドへキリスト教が入っていくと(その辺を境にエッダとサーガに別れるらしい)むこうの吟遊詩人が多く紹介され、ブームになった、あちこちの宮廷で呼び寄せた詩人の話をキリスト協会が記録でもとったんでしょうか?
だから、オリジナルはケニングが効いた力強い頭韻を踏んだ文章のはずだけど、サトクリフはその辺の粗野な部分を排して、とにかく雰囲気たっぷりの人物を作り出しました、強く優しく美しく、しかも賢い、言うことなし!っていうか、女性作家の書く男性って美化されがちですよね、まぁ、男の書く女性ってのも美しくさらに都合のいい女ってのが定番ですが^^;
とにかくヒーローってのはかく有るべしの見本みたいな人物造形です、読んで感動するかはともかく、ファンタジーファンなら押さえておきたいこの一冊ですね。
自分的には読書のための読書てところでしょうか。
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