侵入社員<上・下>(PARANOIA)
ジョセフファインダー(Joseph Finder)石田善彦訳
新潮文庫?700+?700-

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コレ面白いですよ、思わず「アダムがんばれ!」と叫びたくなる。
まじで、かれのプレッシャーと動揺はホント良く判る。
生き馬の目を抜くIT業界ですが、
お気楽社員のはずの彼が、無理矢理やり手のフリをさせられて。
ライバル会社へ産業スパイとして入り込む話です。
配役としては資質的には目を付けられるくらいだからそうなんだろうけど、
アダムが基本的に善良なのがとても好もしい。
そして、道具立てとしての二人の(元と現)CEOが特にすばらしい、
ヒールはヒーローの引き立て役の見本のようなものです。
でもなにより、見るからに悪役なのが、病気の父親。
くどいアドバイスに厭きて耳障りの良い言葉に身を任せてしまうわけだけど、
この緩やかな死を待つオヤジ、思春期の頃にはご意見無用の支配者であり、現在はわがままな病人という名前の疫病神、
その反面、感情的にはかけがいのない肉身として、
彼自体扱いに困っているのが正直なところ。
まじで、入退院を繰り返す家族をもつ身としては、よくわかるなぁ。
良薬は口に苦しとは言うけど、アダムは辛らつなアドバイスを繰り返す実父より、
嘘つきな上司を信じてしまうと言うミスをおかしてしまいます、
しかも、そのミスを修正する時間を逸してしまうのが彼の悲劇。
その辺の父親との関係でこの話を呼んでいくと、
切なくて切なくて涙なくして語れないってのが本音です。
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