エビと日本人2 暮らしの中のグローバル化
村井吉敬 岩波新書(1108)¥740-


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アジア各地でえびの養殖現場をみてまわり、
地道な調査を基にするのは20年前の前著「エビと日本人」岩波新書(20)と同様なのだが。
最新の資料と今の視点で捉えたエビにまつわるあれこれは、
われわれの食卓事情がそのまま見えてくるから不思議。
前著のテーマとしては南北問題(豊かな北と貧しい南)ですが、
この本で示される問題は。
○貿易の自由化がもたらす「食料自給率低下」
○消費者のコントロール外にある「食の安全」
○エビ養殖のための「環境破壊」、
○フェアトレードが切り札になりにくい「南北問題」
これらの根っこがすべてわれわれ消費者の食卓にたどり着くと考えているようです、
つまり、豊かな国の貧しい食卓とでも言ったらいいのか、
流通の最下流にある我々の食卓のニーズが原因というわけだ。
特に加工品を含む国内自給率5%(!)のエビは顕著で、
自分で背綿を取ってなんてことをしないで、
毎日のお弁当は冷凍品をチンして終りのプアな現実。
また、集約的な養殖は薬漬けのエビを産みだすが、
自給率を考えたら輸入せざるおえないのもまた現実。
その養殖池はエビの揺りかごとなる、
貴重なマングローブ林を切り開いて作られるという誤謬を含んだ現実。
その切り開かれた養殖池はベンツに乗るような地主のもので、
現場で働くのは歩合収入の雇われ管理者と日雇い労働者であるという、
20年前と変わらない現実。
このいくつもの現実は解消できるものとできないものを含んでいる、
巨大資本により完成された体制をただちに改革することは難しいが、
各ポジションで地道な意識レベルからの改良は必要なんだと思う。
では、われわれ消費者と言うポジションで何が出来るのか?
ことさらそれらのことに過敏になる必要は無いが、
あまり鈍感だとこの先どうなるかは保証の限りではないということだ
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